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GR8 FEST. AT OSAKA-JO HALL 10/10(土) ライブレポート
新しいなにかを創り出すために。志を同じにし、フェス・イベントを主催する8組が集った“GR8 FEST. AT OSAKA-JO HALL”は、徹底した新型コロナウイルス感染症予防対策のもと、大阪城ホールで開催された。着実に一歩ずつ階段を昇り始めた2020年の音楽シーンに、この日また新たな一歩が刻まれようとしていた。
トップバッターを飾るのは地元・長崎で“BLAZE UP NAGASAKI”を主催するSHANK。流れるようなメロディの中で振り上げられたオーディエンスの腕が揺れる壮観な光景を作り出した「Surface」でライブスタート。爆音を出してライブをする喜びに打ち震えた庵原将平(Vo./Ba.)が興奮をあらわにし、「半年くらい人の前に立ってなかったから完全に普通のおじさんになってたけど(笑)、こういう機会を与えてもらって本当にありがとうございます」と喜びを口にする。
強いビートに反応して大きなクラップが沸き起こった新曲「Rising Down」で加速し、無数の拳が振り上げられたまま「Take Me Back」で攻め立てる。ライブ中に庵原が松崎兵太(G./Cho.)と池本雄季(Dr./Cho.)の顔を見ながら「気持ちよか〜!」と叫んだ姿には、思わずこちらもマスクの下で頬が緩む。「Hope」の力強いサビにぐんぐんと会場の熱は上昇していく。
庵原が「コロナの影響でなかなか海外のバンドが日本に来れないので代わりに…」とスティーヴィー・ワンダーの「Isn't She Lovely」をカヴァー。小気味よいビートに思わず身体を揺らすオーディエンス。ステージの上も下も思い切り音楽を楽しみ、ライブを楽しんでいるという、素晴らしい景色。
松崎が奏でるヒリヒリとしたイントロでライブが後半に突入したことを知らせた「620」。胸を焦がすダイナミックなサウンドが観客の気持ちをぐんぐんフックアップ。声は出せなくても、高揚した気持ちが会場に充満していくのがわかる。
MCで松崎が「もう少し我慢したらね」と言い、庵原が「そう、もう少し我慢したら元通りできるといいよね。本当にそう思います」と想いを告げ、大きな拍手が沸き起こる。会場に居るみんなもその気持ちは同じ。「My sweet universe」の大きなメロディで包み込み、「また絶対にどこかで」と「Set the fire」「submarine」で終演。3人が心から楽しそうに音を合わせ、全身でライブが出来る喜びを噛み締めたステージは、観ていて何度も胸が熱くなった。
SHANK
次は地元・沖縄で“What a Wonderful World!!”を主催するMONGOL800が登場。キヨサク(Vo./Ba)が「大阪、遊びましょう!!」と叫んで「あなたに」で幕開け。声を出せないオーディエンスは心の中でステージ上の3人と共に大きな大きなシンガロング。例え声を出せなくても、会場がぎゅっとひとつになったような大きな一体感。続いては軽快なビートで聴く者の心と身体を大きく揺らす「Love song」。どこまでも響き渡る歌が染み渡る。
「ようやく今年1本目のライブ。めちゃくちゃうれしいです」とキヨサク。「雨ニモマケズ、風ニモマケズ、コロナニモマケズ、台風ニモマケズ…大阪で遊びましょう!」と「PARTY」。エネルギッシュなグルーヴを繰り出す髙里悟(Dr./Vo.)、そしてサポートギターのKubotyとキヨサクの3人が繰り出す最高のパーティーチューンにオーディエンスもノリノリ。ぴょんぴょんと跳ねてライブを楽しんでいる。
今年予定していた“What a Wonderful World!!”は、ギリギリまで開催を模索しながらも断念したという彼ら。「でも、来年開催しますので」とキヨサクが笑顔を見せれば会場からはたくさんの拍手。「face to face」を全員が(心の中で)大合唱した後、キヨサクが「すぐ戻りますよ。その間、俺らいい曲いっぱい作って、来年いっぱい遊べますように」と告げ、最後は「小さな恋のうた」。大きなクラップの中で始まった同曲、サビでは観客が腕を振り上げて再び心の中で大合唱。余韻がいつまでも心の中に残り続ける、温かくて熱いライブだった。
MONGOL800
大阪城ホールを揺らすほどの熱量でライブをスタートさせたのは、神奈川で“DEAD POP FESTiVAL”を主催するSiM。「MAKE ME DEAD!」「Amy」と立て続けに凶暴なサウンドを繰り出して4人が襲いかかる。ステージを所狭しとMAH(Vo.)が暴れまわり、SIN(Ba.)とSHOW-HATE(G.)はソロで魅せ、GODRi(Dr.)が強靭なビートを刻む。完璧な布陣から鳴らされる爆音にオーディエンスは大興奮。腕を振り上げ、身体を揺らし、飛び跳ね、歓声は聞こえずとも温度がぐんぐん上昇する。
最初のMCでMAHが「今から幾度となく“歌え!!”とかマイクを客席に向けたりするけど、騙されないように。歌っちゃいけません。俺はもうクセになってるから」と言い、大きく客席にマイクを突き出すポーズを取って「俺はコレができないライブに慣れたくありません!」と想いを爆発させて「TxHxC」へ突入。バンドとしての矜持を見せつつ、痛快なほどに突き抜けたステージパフォーマンスで圧倒する。
MAHは更にステージで想いを爆発させる。「2020年、コロナが飛んできて世界が変わってしまいました。その中でも決して変わらないものがきっとある。こうしてライブで音を浴びて、身体にビリビリとくるこの気持ちは、誰にも奪えないから! お前らこれだろ? これが欲しかったんだろ?」と叫んで「KiLLiNG ME」。魂がこめられた気迫あふれるステージは圧巻の一言。
「GUNSHOTS」では客席を下から上までモンキーダンス一色に染め、「I DUB U」では深遠な世界観で陶酔させる。そして「好きなバンドがライブやるっていうときは、是非ライブハウスに帰ってきてください。俺たちもライブハウスでライブをやろうと思ってます」とMAHが宣言し、「心の中で思い切り歌ってくれ!」と「BASEBALL BAT」。そして「Blah Blah Blah」で観客が声を出せない様子を見てMAHが曲を一時中断し、「あの頃のように戻れないかもしれないけど、俺は最後まで戻れると信じてやり続ける!」と曲に戻って全員で暴れまくって終了。ライブバンドとしてのプライドと、彼らの胸の中で煮えたぎっている熱い想いをしかと見た。
SiM
“GR8 FEST. AT OSAKA-JO HALL” 1日目のトリを飾るのは“京都大作戦”を主催する10-FEET。暗闇でSEが鳴る中、多くのオーディエンスが頭上にタオルを掲げて3人を迎え入れる。TAKUMA(Vo./G.)が「大丈夫や! お前ら1人残らずビンビンにして家に帰したる!」「最初に宣言します。10-FEET 3人、熱があります。36度4分。フハハハ(笑)」と有無を言わさずに畳み掛け、「VIBES BY VIBES」でスタート。10-FEETのライブが始まってしまえば、一緒に歌えなくてもみんなの気持ちはひとつ。腕を振り上げ、ジャンプし、拳を突き上げ、3人と一緒にライブする。約半年間忘れていたライブの感覚が身体の奥底からゾクゾクと蘇る。沸々と血をたぎらせるような音を響かせる3人。彼らは一切容赦しない。
すべての観客が飛び跳ねて音に没頭した「goes on」、身体を揺らして髪を振り乱しながらサウンドに乗った「ハローフィクサー」。TAKUMAが歌詞を変えて“お前ら 声は出せへんけど 聴こえてるで”と語りかけるように歌った「蜃気楼」。NAOKI(Ba./Vo.)はくるくると回転しながらリズミカルにベースを弾き、KOUICHI(Dr./Cho.)が全幅の信頼を寄せるに足るリズムを繰り出す。頭のテッペンから足の先まで、ライブの興奮で満たされていく。
「アンコールも入れてあと5曲、ぶっ飛ばしていく」とTAKUMAが宣言し、「とりあえず行ってみようぜ、一緒に」と「その向こうへ」。力強い歌とサウンドに背中を押され、オーディエンスは拳を振り上げる。いつだって10-FEETのライブは最高だ。
そして10/14にリリースされる新曲「シエラのように」。悲しみと愛が一緒にギュッと詰まったような同曲に、会場全体の意識がぐっと引き込まれる。そして「RIVER」「ヒトリセカイ」を全員が心の中で大合唱して大いに心の汗をかき、アンコールの予定だった「CHERRY BLOSSOM」。大阪城ホールが揺れるほど観客が飛び跳ね、“やまない雨などない”という同曲の歌詞に想いを重ねて気持ちを高ぶらせる。これで終わりかと思えば「ざまーみろ! あと4分あるってよ」とTAKUMAが笑い、超絶キラーチューン「1sec.」で攻めに攻めて終演…と見せかけて最後は四星球の「時間がないときのRIVER」(10-FEETの「RIVER」のカヴァー)のカヴァーで大団円。
10-FEET
ライブへの愛が溢れまくった“GR8 FEST. AT OSAKA-JO HALL”の1日目。各出演者が主催するフェス・イベントは残念ながら今年中止になってしまったが、今日の4組のライブを観て、それぞれのフェス・イベントの次回が更に楽しみになった。今後の生きる糧がたくさんできた。明日の出演者も今日に負けず劣らず熱い4組。明日への期待に大きく胸を膨らませつつ、大阪城ホールを後にした。
Text by JUNGLE LIFE 山中毅
Photo by Yukihide “JON…” Takimoto